財産開示に応じないモラハラ夫から500万円の解決金を獲得した事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


ご相談者Fさん (飯塚市)
20代女性
職業:会社員
世帯年収:800万円
婚姻期間:5年
解決までの期間:6カ月
解決方法:調停離婚
子どもあり (2人)
離婚を切り出した

相手:50代自営業

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート
サポート
増額
利益
婚姻費用 約3万円
(不定期)
月額
7万円
月額
約4万円
養育費 0円 月額
7万円
月額
7万円
解決金 0円 500万円 500万円

状況

Fさんは、年の離れた夫の度重なる浮気や日常的なモラハラに苦しみ、2人の子どもを連れて夫との別居を開始した約1ヶ月後にご相談に来られました。

別居後、夫はFさんに対し、少ない現金と食料等の現物を渡していましたが、婚姻費用として一定額を支払おうとはしませんでした。

また、夫はFさんとの離婚にも応じようとしませんでした。

そこで、このままでは生活を維持することができず、夫のいる自宅住居に子供と一緒に戻らなければならないのではないかと心配したFさんは弁護士に依頼することを決意しました。

 

弁護士の関わり

裁判のイメージイラストFさんから依頼を受けた弁護士は、夫に対し、すぐに文書で離婚協議を申し入れるとともに婚姻費用を請求しました。

また、婚姻費用については、夫の収入資料も開示するよう求めました。

しかし、夫は話合いに応じず、離婚についても調停の場でなければ話をしないという強硬な態度であったことから、弁護士は速やかに離婚と婚姻費用について調停を申し立てました。

調停では夫にも代理人弁護士が就きましたが、弁護士は、調停の中で、Fさんの生活状況を裁判所に訴えたことにより、初回の調停期日において婚姻費用額の暫定的な合意を行うことができ、暫定的に、毎月一定額の婚姻費用の支払いをしてもらえることになりました。

しかしながら、夫は、不動産収入や売電収入等を確定申告上収入として計上していなかったため、弁護士は、婚姻費用の金額の算定の基礎となる夫の収入を争いました。

それと同時に、弁護士は相手方に財産を開示するよう求めました。

また、弁護士は、離婚を拒み続ける夫に対し、このまま離婚を拒否し続けたとしても、遅かれ早かれ裁判になると離婚が認められること、早期に離婚に応じた方が夫にとっても有利な面がないわけではないことを伝えることで、離婚に応じるよう説得しました。

弁護士は、なかなか財産の開示に応じない夫に対し、強く財産開示と離婚を要求し続けたところ、夫はFさんに対し、財産開示に応じないで離婚をする方法はないかとの連絡をしてきました。

Fさんからその話を聞いた弁護士は、夫が自分の代理人にも言えないほど財産開示をしたくない理由があるのだと考え、Fさんと相談の上、予想される財産分与額よりも高額に設定した解決金及び養育費の支払いに応じるのであればこれ以上の財産開示は求めない旨の提案をしました。

その結果、夫は、Fさんが想定していた金額を大きく上回る養育費と解決金の支払いに応じ、かつ早期に調停離婚を成立させることができました。

 

補足

婚姻費用は、相手方に請求したとき以降のものしか支払ってもらえません。

そこで、別居後はできる限り早く内容証明郵便等の方法によって婚姻費用の請求を行うことが重要です。

また、Fさんの事案では、夫がどうしても財産開示に応じたくないという特殊な事情が存在しました。

このような夫に対し、財産開示を要求し続け、開示された財産を踏まえた上で財産分与を行うという方法もありました。

しかしながら、もともとFさんは、

①夫から金銭の獲得ができなくてもよいから早期に離婚をしたいと考えていたこと

②離婚原因となる夫の浮気やモラハラを証明する資料がなく訴訟になった場合には(その時点では)離婚が認められない可能性があったこと

③婚姻期間が短く財産分与の対象となる財産はそう多くはないだろうと予想されたこと

などから、相手方が財産開示を頑なに拒んでいる時が、Fさんにとって一番有利に離婚を成立させられる時であると考え、財産開示を求めずに離婚を成立させるという判断をしました。

このように、離婚事件はただ争い続ければよいというだけではなく、相手方との交渉の中で、交渉を有利に進めるためのポイントを見つけ出し、依頼者にとって少しでも有利な時期に離婚を成立させられるような判断力と適切な判断をするための豊富な経験が必要となります。

問題が複雑化する前に是非一度専門家である弁護士にご相談ください。