暴力夫から交渉で慰謝料200万円を取得したKさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


ご相談者Kさん (大野城市)
60代女性
職業:無職
世帯年収:450万円
婚姻期間:15年
解決までの期間:2ヶ月
解決方法:協議離婚
子どもあり (独立済成人)
離婚を切り出した

相手:70代無職

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

 

依頼前 依頼後 増額
利益
慰謝料 0円 200
万円
200
万円

 

状況

DVKさんは、約15年前に夫と再婚しました。

Kさんの子ども達はすでに成人して独立しており、近年Kさんは夫と2人で暮らしていました。
夫は、結婚後、Kさんに対して、度々暴言を繰り返してきましたが、Kさんはそれに耐えてきました。

しかし、夫の暴言はエスカレートするとともに、暴力までも振るうようになってしまいました。

それでも、Kさんは、夫に離婚の話をすると逆上されさらにひどい暴力を受けるのではないかとの心配があった上、2度目の離婚となると世間体が悪いと考えたことから、なかなか夫と離婚するという考えにはなりませんでした。

しかしある日、夫は、寝ているKさんに対し、突然、殴る蹴るの暴力をはたらき、肋骨が4本も折れてしまったということがありました。

夫による暴力で命の危険を感じたKさんは、肋骨が折れていることが判明した日にすぐに当事務所にご相談に来られました。

 

弁護士の関わり

解説する弁護士のイメージイラストKさんはこれまでのDV行為を原因として、夫に対して強い恐怖心を持っていたため、夫との間で直接離婚の話し合いをすることが難しい状況でした。

そして、Kさんの希望は、とにかく、夫と接触することなく、かつ、できるだけ早く夫と離婚することでした。

そこで、弁護士は、当時、夫と同居していたKさんにできるだけ早く別居して物理的な距離をとることをすすめました。

そうすることで、身の安全を確保するとともに精神的な安定の回復が可能になるからです。

そして、必要な準備をした上で別居を実行するタイミングで、速やかに夫に対し協議離婚の申し入れを行いました。

また、弁護士は、協議離婚の申入れにあわせて、夫に対し、Kさんとは一切接触しないことを要求しました。

その後、弁護士は、夫に対し、粘り強く交渉を行い、Kさんが夫と何ら接触することなくわずか2ヶ月で協議離婚を成立させることができました。

また、当初、Kさんは慰謝料の請求に消極的でした。慰謝料を請求することで、長引くことを懸念されていたからです。

そこで、弁護士は、夫による暴力の証拠を集めつつ、夫の対応次第では、慰謝料の減額又は放棄も視野に、速やかな離婚の成立を最優先させる方針をたて、戦略的に夫と交渉を進めました。

夫は当初はKさんへの暴力を否定していましたが、収集した証拠の一部を開示することで、夫が暴力を認めるに至り、慰謝料として請求額満額である200万円を取得することができました。

 

補足

Kさんのように、夫の暴力により、骨折してしまったというような場合は、裁判上、慰謝料が認められる典型的な事例の一つです。

もっとも、後遺障害が残るようなケースは別として、その額は不貞行為があった場合よりも比較的低額で、裁判所が判断する場合には、数十万円から100万円台になることが多い傾向です。

そこで、早期解決を希望するKさんの意向を汲み、裁判所が判断した場合の見込額からの乖離が比較的少ない200万円を請求することにし、満額を取得することができました。

また、あらかじめ暴力の証拠をできる限り多く集めておいたことで、当初は暴力を否定していた夫に暴力の事実を認めさせることができ、結果として早期解決につながりました。

このように、慰謝料を請求する場合、闇雲に高額の請求をするのではなく、戦略的に請求することは重要です。

戦略的な請求を行うことで結果として裁判になった場合よりも高額の慰謝料を獲得できることは少なくありません。

では、請求額をいくらに設定するかという場面において、手がかりになるのが、裁判になったときの見通しです。

そのため、離婚事件を多く取り扱い、離婚慰謝料に精通した弁護士に相談することが重要です。

慰謝料について、くわしくはこちらをごらんください。

この事例の離婚に関する説明は、こちらをごらんください。

 

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