人の悪口ばかり言う妻と離婚裁判で戦った夫Uさん

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

ご相談者Uさん (福岡市西区)
50代男性
職業:教師
世帯年収:800万円
婚姻期間:35年
解決までの期間:1年2ヶ月
解決方法:裁判離婚
子どもあり (成人)
離婚を切り出した

相手:専業主婦

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 増額利益
離婚 不成立 成立
財産分与 1500万円支払う 150万円支払う 1350万円
慰謝料 300万円支払う 0円 300万円
婚姻費用 月額13万円
支払う
月額9万円
支払う
月額4万円

 

状況

Uさんは、昭和58年に妻と結婚しました。

結婚してすぐの頃、夫婦関係は良好でしたが、2年ほど経つと、妻の悪いところばかり目に付くようになり、夫婦喧嘩が多くなっていきました。

妻は、親族や仲人を務めてくれた人などの悪口ばかり言っていました。また、妻は実母や妹に対しても、些細なことですぐに腹を立て、機嫌が悪くなっていました。妻のこのような性格に、Uさんはうんざりし、そのことが原因で口論が多くなっていました。

平成5年のことです。法事のとき、妻が親族に対して怒鳴り散らすという出来事がありました。このことがきっかけでUさんは距離を置こうと決め、別にアパートを借りて別居しました。

Uさんは、別居して間もないころは子どもに会うために、自宅を訪れていました。

しかし、数年経ち、子どもがある程度大きくなると、自宅を訪れる回数は減り、年に2回、盆と正月だけになりました。

そして、子どもが成人してからはまったく自宅を訪れることはなくなりました。

妻が65歳となったことから、Uさんは、離婚を決意しました。妻が年金を受給できるようになったため、妻のために籍を入れておく必要がないと考えたのです。

そして、妻と面談し、離婚届を見せて離婚を申し入れました。しかし、妻は離婚に応じませんでした。

そこで、Uさんは、当事務所の離婚弁護士に相談しました。

 

 

弁護士の関わり

弁護士は、Uさんの代理人として、妻に協議離婚の申入書を送付し、離婚の協議をしたいことを通知しました。また、これまでは、妻がUさんの給与口座(通帳)を管理していましたが、その通帳の返却を求め、今後は生活費(婚姻費用)として、月額9万円を支払う旨通知しました。

これに対して、妻も代理人弁護士を立てて回答してきました。

回答書には、離婚には応じられないこと、また、婚姻費用としては月額13万円の支払いを求める旨記載されていました。

当事務所の弁護士は、なんとか協議で解決できないか、相手方の弁護士と交渉しましたが、妻は頑なに離婚を拒みました。そのため、協議離婚は難しいと判断し、すぐに離婚調停を申し立てました。

これに対して、相手方の弁護士は、婚姻費用の調停を申し立ててきました。

また、調停において、相手方の弁護士は、離婚に応じる条件として、財産分与として1500万円を支払うか、自宅マンションの所有権を移転することを求めてきました。

Uさんには、公務員であり、3年後に退職金を受給する予定でした。退職金やその他の財産としてUさんには3000万円程度の資産があったため、その2分の1を求めてきたのです。

当事務所の弁護士は、財産分与については、別居したのが20年も前のことであり、別居後に形成した財産については、財産分与の対象とならないと主張しました。

また、婚姻費用については月額9万円が適正であることを主張しました。

その結果、婚姻費用については、月額9万円で調停が成立しました。

しかし、離婚調停は、相手方が法外な額に固執したため、不成立となりました。

そこで、当事務所の弁護士は離婚訴訟を提起しました。

裁判の中で、相手方は、離婚については請求棄却を求めました。その上で、仮に離婚請求が認められた場合は財産分与として1500万円、慰謝料として300万円、年金分割50%を求めて予備的反訴を請求しました。

当事務所の弁護士は、概要として以下の主張・立証を行いました。

離婚について

別居して長期間が経過しており、婚姻を継続しがたい重大な事由がある

財産分与について

財産分与の基準時は、別居時であり、当時の財産は300万円程度であったことから、その2分の1の150万円の支払い義務しかない

慰謝料について

慰謝料を支払うべき事案ではない

年金分割について

50%の分割に応じる

最終的に、判決の内容は、当事務所の弁護士の主張のとおりとなりました。

すなわち、離婚請求が認められ、財産分与は150万円、慰謝料は0円、年金分割50%となりました。

 

 

補足

本件のメインの争点について解説します。

離婚について

裁判所が離婚を認めるのは5つの場合に限定されています。

すなわち、①相手方の不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上生死不明、④回復の見込みのない精神病、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。

本件は、別居から20年もの長年月が経過しており、⑤の婚姻を継続しがたい重大な事由があることは明らかな事案でした。

財産分与について

本事案では、対象財産の基準時がいつになるかで結論が大きく異なりました。

相手方弁護士(妻側)は、基準時を離婚時(正確には裁判の「口頭弁論終結時」)であると主張しました。この場合、退職金や預貯金などの財産の合計が3000万円程度となるため、いわゆる2分の1ルールにしたがうと、1500万円の支払いとなります。

これに対して、当方は、基準時は別居時であると主張しました。この見解では別居時の財産が300万円程度であったため、150万円の支払いとなります。

財産分与の対象財産の基準時については、別居時説と、離婚時説(現時点、裁判の場合は口頭弁論終結時)があります。いずれが正しいかというより、具体的な事案の状況で結論が異なります。

本件では、当方の主張が認められました。

財産分与について、くわしくはこちらをごらんください。

退職金の財産分与該当性について、くわしくはこちらをごらんください。

離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。