男性のDV・モラハラ被害の特徴

  

DV・モラハラ被害者は女性だけ?

8bf25200620de6b5c8c6bef2b6b3452f_sDVやモラハラ被害者が女性だけというのは誤った認識です。

確かに、体力や体格の圧倒的な差を利用して振るわれる身体的暴力の場合、被害者の圧倒的大多数は女性です。

しかし、精神的暴力は、物理的な力を必要としませんから、女性から男性に対しても振るわれます。

また、職場等では男性から男性へ振るわれることも大いにあります。

 

 

家庭内でDV・モラハラが行われる場合

男性が被害者となる家庭内の精神的暴力は、次のような言動を行う場合が典型です。

  • 仕事から遅く帰宅してもねぎらいの言葉がなく、食事すら作ってくれない。
  • 掃除、洗濯等の家事を放棄する。
  • 夫の嫌がる行為(遊びまわるなど)を毎日繰り返す。
  • 「稼ぎが悪い」「甲斐性がない」「ダメ亭主」「能なし」などの暴言を吐く。
  • 夫だけ除け者にして、夫の居場所を無くす。
  • セックスを強要する。

 

 

職場等でモラハラが行われる場合

054759精神的暴力が発生するのは家庭だけではありません。男性の場合、職場や学校などもモラハラの発生土壌となります。

例えば、職場で、上司や同僚、場合によっては部下が、次のような方法で攻撃を行う場合です。

①孤立させる。
②仕事にかこつけて個人攻撃する。
③仕事を批判するのではなく人格を攻撃する。
④正常な感覚を失わせる。

仕事に関連して相手を傷つける言動

  • 仕事に必要な情報を与えない
  • 相手の意見にことごとく反対する
  • 電話やファックス、パソコンなど、仕事に必要な道具を取り上げる
  • 仕事を与えない
  • 相手の能力からすると簡単すぎる仕事を、わざと選んでさせる
  • 相手の能力からすると難しすぎる仕事を、わざと選んでさせる
  • 昇進ができないようにする
  • 意志に反して、危険な仕事をさせる
  • 相手の健康状態を考えたとき、負担の大きすぎる仕事をさせる
  • 職務上、相手の責任になるような失敗を引き起こす
  • わざと失敗させるように仕向ける

コミュニケーション拒否で相手を孤立させる言動

  • 標的にした社員が話そうとすると、話をさえぎる
  • 相手に話しかけない (上司が部下に。同僚に。あるいはその両方)
  • メモや手紙、メールなど、書いたものだけで意志を伝える
  • 仲間はずれにする

相手の尊厳を傷つける言動

  • 侮蔑的な言葉で相手に対する評価を下す
  • 肩をすくめるなど、軽蔑的な態度をとる
  • 同僚や上司、部下の信用を失わせるようなことをいう
  • 悪い噂を流す
  • 精神的に問題があるようなことをいう(「あいつは精神病だ」等)
  • 身体的な特徴や障害をからかったり、その真似をしたりする
  • 私生活を批判する
  • 信仰している宗教や政治的信条を攻撃する
  • 相手が侮辱だと感じる仕事をさせる

職場で上記のような行為がある場合、パワーハラスメント(パワハラ)と重なりますが、モラハラがパワハラと異なるのは、パワー(権力)を背景としないことです。

すなわち、上司から部下へだけでなく、同僚や部下からも行われます。

 

 

男性の相談窓口

DV・モラハラ被害者にとって、もっとも大切なことは、適切なアドバイスをしてくれる専門家の存在です。

この点、女性の場合、公的な相談窓口として、「婦人相談所」「女性センター」 「女性の人権ホットライン」「配偶者暴力支援センター」などがあります。

しかし、これらのほとんどは女性被害者が対象であり、男性が相談しにくい状況です(配偶者暴力相談支援センターは男性でも相談可能です。)。

また、配偶者から暴力を受けた場合の避難施設として、「DVシェルター」というものがあります。

この施設は、肉体的な暴力だけでなく精神的な暴力を受けた場合も対象ですが、やはり対象は女性のみの場合がほとんどとなります。

このような現状から、男性被害者に対する国の支援は甚だ不十分といえます。

さらに、民間の団体等についても、女性被害者を支援する団体はいくつかあるものの、男性被害者を支援する団体はほとんど存在しません。

当事務所は、男性の気持ちを理解できる男性弁護士がDV・モラハラの悩みに対応しておりますので、お気軽に相談していただければ幸いです。