- トップページ
- DVについてよくあるご相談
- どのようなときに保護命令を発令できますか?
どのようなときに保護命令を発令できますか?
1年以上前に、夫に身体を蹴られ、外傷性頚部症候群及び全身打撲の傷害を負いました。それ以来、夫に怯えて過ごしています。
最近でも、夫に手を掴まれて引っ張られることがありました。
夫に触れられるだけで、過去の障害を負わされた時の暴力の記憶が蘇り、びくびくしながら生活しています。
このような場合でも、保護命令は発令されるのでしょうか。
現在の状況で、保護命令の発令は、要件を満たさず、難しいでしょう。
保護命令について、裁判所はどのような判断基準で発令を検討しているのでしょうか。弁護士が解説します。
保護命令とは?
保護命令は、「被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律10条)に発令されます。
この保護命令に違反した場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同法29条)に処せられます。
保護命令が発令される用件とは?
では、どのような場合に、上記の要件を満たすと解されるのでしょうか。
ここでは、東京高裁の平成14年3月29日決定が参考になるため、その事案をもとに解説いたします。
この事案では、保護命令の申立ての1年前に、給与の額などを巡り口論になり、怒った夫が、妻の身体を蹴るなどの暴行を加え、外傷性頚部症候群及び全身打撲の診断がなされていました。
そして、保護命令の申立てる直前にも、同様の口論があり、怒った夫が、妻の手をつかんで、妻を屋外に引っ張り出したことがありました。
なお、このときをきっかけに夫婦は別居することになりましたが、それ以後も、夫は、身を隠す妻を探し出したりするといった行動はとっていません。
このような事実のもとで、保護命令の発令の可否が争点となりました。
原審である東京地裁は、保護命令を発令しましたが、その抗告審である東京高裁は、保護命令の発令を認めませんでした。
そのうえで、上記の事実関係のもとでは、夫が妻に対して、更に暴力を振るって相手方の生命又は身体に重大な危害を加える危険性が高いということはできないと判断しています。
したがって、保護命令の発令の可否を検討するにあたっては、
①暴力の頻度、②暴力の態様、③傷害の結果の程度等から、要件を満たすか否かを慎重に判断することが必要です。
この判断は、法的なものです。
保護命令の申立てを検討している方、保護命令を申立てられてしまった方は、保護命令に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。
「保護命令」についてよくある相談Q&A
そもそも自分は保護命令を申し立てて認めてもらえるのでしょうか?
保護命令の申し立てを裁判所に認めてもらうためにはどのような証拠が有効になりますか?


その他、DVに関するよくあるご相談
-
DV防止法における「配偶者からの暴力」とは、DV加害者である配偶者の以下の①又は②に該当する行動であると規定されており、殴る、蹴るなどの「身体的暴力」に限定されるものではありません。...[続きを読む]DV防止法による保護の対象とされているのは、原則として、夫婦間、離婚した元夫婦間、事実婚のカップル間の暴力であり、恋人間の暴力については適用されません。したがって、基本的には保護命令は出せません。...[続きを読む]離婚の後、「元配偶者」から引き続いて暴力を受ける場合も、DV防止法による保護の対象となります。 また,DV防止法の「配偶者」には,婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁の...[続きを読む]未成年の子どもと被害者が同居している場合、DV加害者である配偶者が子どもを連れ戻しそうな言動をしているなどの事情により、被害者が加害者と会わざるを得ない事態となる可能性が高い場合があります。...[続きを読む]DV加害者である配偶者が、被害者の親族の住居に押しかけて、著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることなどにより、被害者がその行為を制止するため、加害者と会わざるを得ない事態となる可能性が高い場合がありま...[続きを読む]被害者は、本人に対する接近禁止命令の申立てと同時又は命令がなされた後、その生命または身体に危害が加えられることを防止するため、接近禁止命令の効力が生じた日から6か月の間、DV加害者である配偶者に対し、...[続きを読む]裁判所は、直ちに管轄する警察本部に保護命令を出した旨及びその内容を連絡します。 警察本部は、申立人(被害者)と連絡を取り、現在の居所等を把握し、当該場所を管轄する警察署に対して、その旨を連絡します。...[続きを読む]命に関わる問題ですので、まずは安全を確保することが大切です。 110番通報するか、最寄りの警察署や交番、駐在所に行って被害を訴えてください。...[続きを読む]一時保護施設を利用することができるのは2週間程度です。 その間に今後、生活していく別居先を探せばよいでしょう。 DV被害者の方には公団などが優先的に割り当てられています。...[続きを読む]調停では、申立人(被害者)と相手方(加害者)とは待合室が別になっており、通常、交互に調停委員から呼び出されるため、調停成立時以外、顔を合わせることは原則としてありません。...[続きを読む]新しい生活を始めるには、 ①一時避難先の確保、 ②職の確保、 ③生活資金の確保、 ④住宅の確保等 が必要となります。...[続きを読む]配偶者から受けた行為であっても、 暴行や傷害、つきまとい行為等、刑法やストーカー規制法に触れる場合は処罰を求めることができます。...[続きを読む]離婚するには当事者の話し合いによる協議離婚があります。しかし、DVやモラハラ被害者の方が、加害者と直接協議することは困難です。 そこで、当事務所では、弁護士が被害者の方に代わって相手と離婚の交渉を行...[続きを読む]恋人からの身体的・精神的・性的な暴力は、デートDVと呼ばれており、 高校生や大学生等、若い男女の間でも起きています。...[続きを読む]保護命令は、裁判所から加害者に対して発令されるもので、具体的には以下の内容があります。 ①接近禁止命令 これは、被害者の身辺へのつきまといや、被害者の住居、職場等でのはいかいを禁止する命令です。...[続きを読む]可能です。 DV被害者の方は、加害者からの暴力により、尊厳を傷つけられ、自尊心を奪われ、加害者に対し、恐怖心や無力感を抱いています。被害の程度が大...[続きを読む]被害者の方が加害者よりも収入が少ない場合は可能です。DV被害者の方は、加害者からの暴力により、尊厳を傷つけられ、自尊心を奪われ、加害者に対し、恐怖心や無力感を抱いています。...[続きを読む]夫から暴力を受けていて離婚したいのですが、離婚の話をすると、暴力がエスカレートしないか不安です。 どのような対応をすれば良いでしょうか。...[続きを読む]夫から暴力を受けている妻の場合、夫と直接顔を合わせて、協議離婚を成立させることは至難の業です。 勇気を出して、直接、離婚協議を行ったとしても、かえって暴力を振るわれ取り返しの付かない結果にならないと...[続きを読む]暴力夫から逃げるために、夫に何も言わずに実家に帰りました。 一方的に出て行った形になったのですが、夫に生活費を請求することはできますか。...[続きを読む]慰謝料請求は可能です。 相手方の有責行為によりやむなく離婚に至った場合、その精神的苦痛についての慰謝料を請求できます。 暴力は、例え、夫婦間であっても、刑法上の暴行罪、傷害罪という犯罪行為になりま...[続きを読む]現在、暴力夫と同居中ですが、離婚を考えており別居をしようと思います。 別居にあたり、持ち出すものなど、注意すべき点はありますか。...[続きを読む]夫の暴力が原因で離婚しました。子どもは私が育てています。夫が子どもに会いたいと言ってきていますが、拒めないのでしょうか。...[続きを読む]1年以上前に、夫に身体を蹴られ、外傷性頚部症候群及び全身打撲の傷害を負いました。それ以来、夫に怯えて過ごしています。最近でも、夫に手を掴まれて引っ張られることがありました。夫に触れられるだけで、過去の...[続きを読む]男性でもDV・モラハラの被害者と認められます。「DV」という言葉を聞いたとき、ほとんどの方は男性の女性に対する暴力を想像されると思います。基本的には、女性よりも男性の方が体格や力で勝るため、社会一般の...[続きを読む]この問題について、当事務所弁護士が回答いたします。まずは、弁護士がご相談者の方の個別のご事情をお聞きして、保護命令を申し立てた場合に保護命令が出されるのかの見通しをお示しします。...[続きを読む]このご質問について、当事務所の弁護士が回答します。申立書に証拠書類を添付して、管轄の地方裁判所に申立てを行うことが必要です。ポイントは、どこに申し立てるのか、どのようなことを申立書に記載するのかです。...[続きを読む]求める内容等により、様々なものがあります。この点について、当事務所の弁護士が回答いたします。まず、保護命令の内容は、① 被害者への接近禁止命令② 未成年者の子への接近禁止命令③ 被害者の親族等への接近...[続きを読む]この点について、当事務所弁護士が回答いたします。再度の退去命令の申立てを検討することになります。退去命令が発令されると、加害者は2か月間住居から退去し、その付近をはいかいしてはならなくなります。そのた...[続きを読む]警察へ協力を求めることが可能です。また、違反への罰則が用意されています。せっかく保護命令が出されて加害者から解放されたにもかかわらず、加害者が保護命令に従わない場合(例:徘徊、電話、接近等をやめない)...[続きを読む]暴力の程度や結果はもちろん、婚姻期間や相手方の収入も考慮されます。この問題について、弁護士が解説します。DVが離婚原因となり、離婚に至った場合、離婚慰謝料が認められます。...[続きを読む]夫のDVにより大怪我をして入院をする事態となり配偶者保護命令が認容されました。夫がこのDVを原因として、傷害罪で起訴されています。夫の刑事事件の裁判を利用して、私が夫に慰謝料を請求する方法はないのでし...[続きを読む]妻が、離婚原因として私のDVを主張しています。 しかし、私は、夫婦喧嘩の際に大声で怒鳴ったりモノにあたったりすることはあったのですが、現実に手を挙げたことは一度もありません。 それなのに、DVが認...[続きを読む]