PTSDになった子の面会交流を実施しない合意を得た事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

ご相談者Rさん (福岡県久留米市)
50代女性
職業:専業主婦
世帯年収:1200万円
婚姻期間:約20年
解決までの期間:1年
解決方法:調停離婚
子どもあり (長男、二男)
離婚を切り出した

相手:50代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 増額利益
離婚 不成立 成立
婚姻費用 月額15万円 月額23万円 月額8万円
面会交流 間接的交流

 

 

状況

Rさんは約20年前に夫と婚姻し、その後、長男、二男が誕生しました。

夫との婚姻生活を継続していたRさんでしたが、夫からの長年に渡る言動や経済的な締め付けに苦しむ生活が続いていました。

特に、毎月十分な生活費をもらえないことが多かったため、経済的に困窮する日々でした。

こうした長年にわたる生活により、Rさんは次第に無気力状態になり、生きることも許されないような感覚になっていきました(Rさんは後にPTSDの診断を受けています。)。

そうした中、Rさんは半ば夫から逃れるような形で、子ども達を連れて別居を開始しました。

その後、Rさん、長男、二男は、心療内科に通うなどして少しずつ健康的な日常生活を取り戻そうと日々努力をしていました。

また、別居後、Rさんは親族を通じて夫との離婚協議を行おうと試みましたが、うまく行かずに完全に行き詰まっていました。

さらに、別居後、夫から毎月20万円の生活費の支払を受けていましたが、その後、突然10万円に減額する旨の通知がありました。

このようなことが重なったため、何とか光明を見出し前に進みたいと考えたRさんは、ご親族と一緒に弊所にご来所、ご相談されました。

この時点で、別居開始時から約1年が経過していました。

 

弁護士の関わり

Rさんからご依頼を受けた弁護士は、以下の弁護活動を行いました。

子ども達(長男・二男)は、Rさんと一緒に別居をしました。

夫との同居中、言動は長男・二男にも向けられていたため、その精神的ダメージは長男・二男にも蓄積されている状態でした。

別居後、長男、二男が心療内科を受診した際には、両名ともPTSDの診断を受け、日常生活にまで支障が出る程度に達していました。

そのため、両名とも父親との直接の面会交流を実施することができる状態ではありませんでした。

こうした状態でしたが、夫側は、離婚調停を申し立てるのと同時に面会交流調停を申し立ててきました。

長男、二男が上記のような状態だったため、弁護士は現時点では直接の面会交流を実施することができる状態にはないこと、その根拠資料(医師の診断書等)を提出するなどしました。

最終的には、
・当面は直接の面会交流を実施しないこと
・夫へはブログ等の情報伝達媒体によって、子ども達の情報を提供すること
等の内容で面会交流調停が成立しました。

そのため、間接的な面会交流に留めるという内容での決着となりました。

 

補足

面会交流とは、非監護親(子どもを監護養育していない親)が、子どもと直接会ったり(面会)、面会以外の方法で意思疎通を図ること(交流)と解されています。

面会交流は、一般的に子どもの福祉・利益に資するものであることから、これを実施することが望ましいといえます。

ただ、反対に言うと、面会交流を実施することが子どもの福祉・利益に反する場合には、これを実施しない方がよいといえます。

面会交流が認められない場合には、例えば、
・子どもに対して暴力をふるう
・子どもに悪影響を与える
等が考えられます。

もっとも、上記事情があるから必ず実施しなくてよいというものではなく、個別具体的な事情により異なります。

本件では、長男、二男ともに、夫からの精神的暴力によって、PTSDに罹患したという事情がありました。

そのため、弁護士は当面直接の面会交流を実施すべきではないという主張等を行っていきました。

そして、上記のとおり、当面は直接の面会交流は実施せずに間接的な交流(ブログ等により、子ども達の状況を伝える方法)に留めるという形で決着しました。

当事務所には、面会交流について多くの解決実績があります。

本件のRさんのように面会交流の実施方法等についてお悩みの方は、この問題に精通した弁護士にご相談されることをお勧めします。

面会交流について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

この事例の離婚に関する説明は、こちらをごらんください。

この事例の婚姻費用に関する説明は、こちらをごらんください。